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1999年02月06日−−−−−電机本舗

 「携帯ほいほい」という携帯電話のメモリー編集ソフト(Macintosh用)をご存じだろうか。これを作っているのが電机本舗(でんきほんぽ)という会社である。

 出会いはこんなこと。かなり前のこと、サンタックの「モデム」を買ったらFAXソフトがついてきた。ところがこれが動かない。サンプル版なのでサポートはしないのが前提なのだが、マニュアルで会社の住所をみたらなんと私の家の近く。おそるおそる電話して状況を話すと、「もしマシンごと持ってこれるなら調べてみてあげます」とのこと。当時はMacSEという小型のマシンだったので車に乗せて持ち込んだ。小さな会社で社長自身がプログラマーだった。「土曜日にもかかわらず恐縮です」というと、土日の方が電話などでわずらわされないので、いつも仕事をしているとのこと。

 2時間ばかりかかって社長自らが直してくれた。原因はハードウェアのROMの仕様が変更され互換性がとれなくなってしまっていたとのこと。とにかく直ったのでお礼を言って、いくらかでも修理代を支払おうとすると、「Apple社がハードの仕様変更していたことが分かったし、勉強になったから修理代はいいですよ」とのこと。ここから由井さん(社長)とのおつきあいが始まった。

 彼、Mac用のソフトを開発しているが特にMacに入れ込んでいるわけではない。むしろ製品に一貫性がないことなど多くの点に批判的である。その1例がPowerBook G3のポートが規格通りの電圧がかかっていなくて、繋がるはずの周辺機器が繋がらないなどの状況を発見し、知人の周辺機器製造会社に調整ケーブルの制作を頼んでユーザーに解決策を提供した。

 携帯電話のメモリー編集ソフトは大変寿命の短いソフトで、約半年でピークを迎え、携帯電話の11桁化移行が落ち着いた今はもう下火である。彼はMacintoshという小さな市場で、それも一番早く製品を投入することでビジネスを成功させた。しかし彼に言わせれば、携帯電話のメモリー編集ソフトのビジネスはバブル的なものと、初期ロットの成功時に日頃お世話になっている多くの人達を「屋形船」に招待し、若い人のデートスポットである「お台場」の湾に停泊させ、食事をふるまった。


 彼、私より若いのだが苦労人で、一緒に酒など飲むたびにいろいろ教えられる。ある時など、仕事上でのトップの裏切りに落胆していると「松本さん、自分が出来ないことを人に期待していませんでしかた?それって落胆のもとですよ」と言われてしまった。あまりにもずばりと言いあてられたので、思わず笑ってしまった。それで吹っ切れたのは言うまでもない。

 
 2月6日、自分の誕生日にあたって、人生についての多くのアドバイスをしてくれた「友人」に感謝を伝えたい。

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